吉田順一教育研究所

中堅都立高校の挑戦 福生高校の場合

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中堅都立高校の挑戦 福生高校の場合

中堅都立高校の挑戦 福生高校の場合

2026/08/01

こんにちは 吉田順一教育研究所です。

公立の中学校が相対評価から絶対評価に変わったときに、どんなに頑張っても「1」の評定がついてしまうことはなくなる、「4」や「5」の評定が増える、ということが言われました。実際には現在、1と2の評定は教科にもよりますが、合わせて20%程度の比率になっています。詳細は下記リンクを参照してください。

https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/kyoiku/20260326_hyotei_01

 

相対評価の時代、5と1の評定は全体の7%、4と2は24%、3は38%の比率とされてきました。令和8年度の英語を例にすると、5は14%で倍増していますが、2は20.2%で減少しており、合わせて34%は相対評価の時代の合わせて31%に比べて微増と言えると思います。1の評定が9教科の合計で4%弱あるのは不登校の生徒の比率にほぼ見合った数字になっています。そして、絶対評価の時代になって大きく数字が変化したのは「3」の生徒の比率で、平成8年の実技教科ではすべての教科で50%を超え、保健体育では、52.4%の生徒に3の評定がつけられています。このような状況を反映して都立高校を進学先として考える生徒の半分程度はいわゆる「オール3の生徒」ということになり、受験先の選択に迷う生徒のボリュームゾーンになっていると言えます。しかしながら、同じ「3」の評定でも、必然的に「4」に近い生徒と「2」に近い生徒がいることになります。定期テストの得点だけで見ても79点から50点の得点まで学力の幅がある可能性があるのです。

3が評定の平均ではない現実

 

受け皿となる中堅の都立高校も、最も人数が多い「3」の生徒に選ばれる学校にならないと、募集で定員割れにもなる可能性があるわけです。都立高校は施設面では私立高校に対抗するのは難しい面も現状ありますが、意欲ある生徒の期待に応えるための工夫をしている代表的な都立高校として福生高校を紹介します。

学校の取り組みを判断する判りやすい指標として、東京都教育委員会からどのような指定を受けているかということがあります。よく知られている指定では「進学指導重点校」がありますが、指定を受けるということはそれに応じた援助があるということです。福生高校は平成8年度以下の指定を受けています。

■進学指導研究校■学力向上推進校■GE-NET EE(英語教育推進校)■海外学校間交流推進校■探究的な学び推進事業対象校 さらに「学校提案による都立高校の魅力向上プロジェクト」にも応募していると聞いています。

 

福生高校の挑戦

 

大学進学希望者の進路実現が図れる学校

 福生高校では2年生進級時希望に応じて「進学クラス(2クラス)」と「一般クラス(5クラス)」に分かれます。中堅の都立高校では自分の関心や将来の職業選択に応じて専門学校を目指す生徒や、部活動に力を入れてバランスよく勉強もしたいという生徒も多いのです。多様な生徒がいる中で、自分は大学受験の勉強を軸に2年生以降の高校生活を送りたいという希望を持つ生徒でクラスを編成するのです。

 福生高校では朝7時から夜7時まで自習が可能でサポートティーチャーも配置されています。福生高校は定時制も設置されているのですが、あまり知られていませんが、都立の定時制では給食が実施されていて、冷房の効いた食堂もあります。こうした設備も普通科と一体で運用し、意欲ある定時制の生徒と進学クラスの生徒の取り組みが一般クラスの生徒にもよい影響を与え、学校全体として前向きな雰囲気になっているのです。数学と英語は習熟度別の少人数クラスになっていますが、ボキャブラリーコンテストを実施するなど特に英語教育に力を入れており、2年生の1月に全員無料で受験できる英検では学年260人中106名が準2級以上に合格しており、2級以上も35名が合格しているとのことです。

 

国際理解教育と英語力の育成に積極的に取り組む学校

 前述のように福生高校では英語教育に力を入れていますが、近隣の横田基地に設置されている横田ハイスクールやフランスのリセ・ヴォルテールと姉妹校提携を結んでいるほか、ヨルダン、インドネシア、メキシコなど多様な国々の生徒や大使館員などとの交流の機会が日常的にあることも特色です。東京都の海外派遣事業にも毎年生徒が選ばれているほか、ブリティッシュヒルズやトウキョウグローバルゲートウェイでの国内留学体験の機会が1、2年生の時にあります。さらに、昨年からアジア諸国での修学旅行も実施されています。GE-NET EE(英語教育推進校)と海外学校間交流推進校に選ばれていることで、生徒全員が国際理解を体験できる環境があるのです。

 

学びの機会を保障する学校

 進学に意欲のある生徒の学びを保障するだけではなく、部活動を通じて心と体を鍛える学校であることも標榜していますが、やはり何といっても高校生の、特に理系の勉強は難しい面があります。中学生の時の基礎学力が不足していたり、クラスの集団の授業のテンポが合わない生徒もいます。福生高校は「学びの機会を保障する学校」として英数の習熟度別少人数授業やサポートティーチャーのほか、併置している定時制の授業を受講することも含めた柔軟な単位認定で、「誰一人取り残さない」学校を目指しています。そのため、都立高校の中で他の高校からの転編入の受け入れが一番多い高校にもなっています。柔軟な単位認定は定時制でも砂川高校の通信制と高卒認定試験を活用して本来4年制の定時制を3年で卒業できる制度(三修制)も可能にしています。意欲ある学校生活を送り、自信をもって次のステージに進む。そのため、身だしなみ指導も重視していますが、一方この夏からは学校指定の紺色ポロシャツの着用を認めています。規律ある中に柔軟な対応で多様な生徒を誰一人取り残さずに自己実現を図る。そんな困難なミッションに挑戦しているのが福生高校であると言えると思います。

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