都立高校再編成への胎動(その3) 北園高校と武蔵野北高校に「深沢高校方式」導入へ
2026/09/18
こんにちは 吉田順一教育研究所です
北園高校と武蔵野北高校に「深沢高校方式」導入へ
9月17日東京都教育委員会は「令和9年度東京都立高等学校入学者選抜実施要綱・同細目」について報道発表を行った。その中で最も注目されたのは今年度の入選で深沢高校(単位制)が試験的に導入した方式(学力検査と調査書の比率を7対3と10対0のいずれか高い結果で合否を決定する方式)が北園高校と武蔵野北高校でも実施されると発表されたことである。このことにどのような意味があるのか考察してみたい。
まず、学力検査による選抜ではかつて「特別選考」という名称で、合格者の9割を学力検査と調査書の比率7対3の総合選抜で選抜し、その合格者以外の受験者で定員の残りの10%について学力検査の結果だけで男女の別なく合格者を決めるという制度があった。進学指導重点校を中心に実施されていたが、この制度は平成28年に入試制度の簡素化の下に廃止された。その制度との大きな違いは受験者全員が対象となることである。類似の制度に見えるが背景は大きく異なるようである。今回同時に発表された「令和9年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会報告書」の内容から以下の背景が読み取れる。
- ① 東京都の調査で長期欠席生徒の激増と不登校生徒の出現率の倍増(平成28年3.6%から令和6 年7.8%)に伴い、調査書に心理的不安を感じる生徒が都立高校を受検しやすくする制度の構築が求められていること
- ② 一方で不登校生徒の優遇との印象を与えることの回避の必要性
- ③ 近年の応募倍率、受験率の低下に歯止めをかけ、通信制に進学する生徒が中学卒業生の1割に迫る状況への対応
- ④ 国から求められている「併願制度」(複数の公立高校を併願できる制度設計)に対する対応
以上は④を除き様々な事情から内申に自信がない生徒が都立高校を受検しやすいようにしたいという背景を示す。 そこで深沢高校をテストケースとして上記の「深沢高校方式」が本年実施されたが、近年募集困難校であったこともあり、募集状況に期待された改善は見られなかった。その検証から、アイディアは正しいのだから地理的な配置と入試レベルの点で新たな選抜方法を複数の都立高校で実施してほしい、という意見が入学者選抜検討委員から出た模様である。
また上記④は公立高校への選択肢を受験生に与えることが意図の一つであることから、新たな選抜方式の実施校を増やすことはその考え方に沿うともいえる。
以上の背景から選ばれたのが区部で北園高校、多摩では武蔵野北高校ということである。両校は進学指導推進校15校の中でも進学実績上位に位置し、Ⅴもぎの合格の目安で換算内申55前後、5科偏差値60前後の学校で、MARCH以上の大学への実進学率の高い高校である。深沢高校は「新たな教育のスタイル」実施校でもあったが、令和8年4月23日「新たな教育のスタイル」の実施校として新たに発表された新宿高校、国分寺高校、駒場高校との関係は?
次回都立高校再編成への胎動(その4)でさらに考察を加えたい。
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