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都立高校再編成への胎動 「新たな教育のスタイル」実施校の発表が意味するもの(その1)

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都立高校再編成への胎動 「新たな教育のスタイル」実施校の発表が意味するもの(その1)

都立高校再編成への胎動 「新たな教育のスタイル」実施校の発表が意味するもの(その1)

2026/07/07

 東京都教育委員会は令和8年4月23日、「新たな教育のスタイル」の実施校として新宿高校、国分寺高校、駒場高校を指定することを発表した。「新たな教育のスタイル」とは令和11年開校予定の、もともと「第二国際」と呼ばれていた新設高校プロジェクトの構想の再検討の中で出てきた概念である。東京都教育委員会は令和7年度より、デジタルとリアルの最適な組み合わせにより、都立高校の学びのあり方から見直す「次世代の学びの基盤プロジェクト」を開始しており、「中間の取りまとめ」を3月に発表するとともに、次年度の都立高校の人事において「新たな教育のスタイル」実施校の開設準備室長が発令されていた。開設準備室長が「第二国際」の校長を務めるかはまだ明らかではない。その動きの延長上で令和10年(現在の中学2年生が入学する年)から「新しい形のフラッグシップ進学校」として先述の3校を指定し、港区白銀地区の「新たな教育のスタイル」実施校(「第二国際」)の開校に先駆けて準備を先行させようという意図と思われる。「新たな教育のスタイル」の中身についてはいまだ明確ではないが、イメージとしては生成AIやデータサイエンスなどデジタルと探究学習の充実や国際交流などリアルの教育の融合による学びにより、「予測できない状況に柔軟に対応できる力を伸ばし、世界で生き抜く人材を育成すること」を目的としている(東京都教育委員会の報道発表)。  

 

 さて問題はそのために選ばれた3校がどのような立ち位置にあるかという事である。東京都教育委員会の発表では「進学実績、地域バランス、交通アクセス等を踏まえて選定」となっているが、3校は現在の指定でいうといずれも「進学指導特別推進校」に属している。さらに新宿、国分寺は進学重視型の単位制高校のカテゴリーに属する。しかも進学実績でいうと、上位のカテゴリーに位置する「進学指導重点校」に近い実績を出す学校もあるのである。意図としては、港区白銀地区に新設する「新たな教育のスタイル」実施校を、開校と同時に「新しい形のフラッグシップ進学校」にふさわしい志望者を集める学校にするために、既存の実績ある学校と一緒にして新しいグループを作ろうとしていているのではないかと思える。そうなると、切り分けられた残りの「進学指導特別推進校」をどうするのか。募集状況と進学実績に格差が最近目立つ「進学指導重点校」と「進学指導推進校」を含めた再編成が行われるのではないか。そのようにも見えるのである。

 

<参考> 進学指導重点校の指定の目安になっている東京大・京都大・一橋台・東京科学大・国公立大医学部医学科の2026現役合格数 (カッコ内は国公立大学全体) 

 

進学指導重点校 

日比谷 95人(141人) 西 70人(152人) 国立 53人(142人) 戸山 35人(123人) 青山 28人(105) 立川 19人(128人) 八王子東 11人(110人) 

※青山のみ学年7クラス校 他は8クラス校

 

進学指導特別推進校

駒場 10人(91人) 小山台 11人 (93人) 新宿 19人(121人) 国分寺 5人(91人) 町田 1人(51人) 国際 3人(31人) 小松川 7人(71人)

 

 関連した再編の動きとしては毎年のように指定校の入れ替えが行われてきた「進学指導研究校」について、令和7年度指定校14校(板橋有徳、小川、永山、翔陽、東大和、福生、芦花、狛江、目黒、杉並工科、南平、府中、保谷、東大和南)のうち、芦花以下の8校は新たなカテゴリーとして令和8年4月30日に発表された「進学指導等の充実事業推進校」35校に移行している。「進学指導等の充実事業推進校」は、「キャリア教育の視点に基づいた進路指導体制の充実を図るとともに、大学進学を目指す生徒一人一人に対して、進路希望や資質・能力に応じた指導を行う学校」とされ、定時制の新宿山吹や科学技術、園芸、杉並工科の専門学科の学校のほか、晴海総合、上水という総合学科、単位制の学校も加わっている。「進学指導等の充実」の「等」を「キャリア教育の視点に基づいた進路指導」と読み替えると指定された学校の校種が多岐にわたる理由も見えてくる。都立高校は近年志望率の低下が言われている。進学実績のある上位指定校の中でも応募倍率に格差が目立つが、全体的には中堅上位の学校を含めた都立高校全体の魅力の低下に原因があると考えられる。

 

 かつて全体的な都立高校の再編が行われた時に、「進学指導重点校」が指定された時のように、学校間で目的を明確にして特色を出す施策が改めて必要な局面にあると思われる。その観点からも従来の校種、指定を超えた再編が行われるのは必然であろう。一つ指摘したいのは、この30年で確実に老朽化が進行している施設の問題である。財政が豊かといわれる東京都でも、予算に限りがある以上、所得に制限を設けない授業料の補助も意義があるが、都民の重要な進路先である都立高校の施設への投資も欠かすことはできない。日野や立川緑のような成功事例からも明らかなのではないか。魅力ある学校つくりは現場のアイディアと努力も大切だが、それを支える施設面の改善がない限り、中学校で3や4の内申を取る大多数の生徒たちの私立志向の流れをとどめることは困難かもしれない。

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